山吹の 立ち儀(よそ)ひたる 山清水 汲みにいかめど 道の知らなく

原文

山振之 立儀足 山清水 酌尓雖行 道之白鳴

 

                 (万葉集巻2−158・高市皇子)

 

風香意訳

山吹(やまぶき)が寄り添っている山清水。その水を汲みに行こうにも私はそこへの道を知らない。(山清水は黄泉の国をも指している)

 

明日香村にある犬養万葉記念館。国文学者である犬養孝先生を顕彰してできた記念館で決して大きな施設ではないのですが、犬養万葉の世界が堪能できるそれは素晴らしい空間です。その中庭にあるのが先生揮毫のこの万葉歌碑。先生を偲んで建てられたものでしょう。

 犬養先生とは残念ながら一度もお逢いしたことがありません。その先生との出会いは1冊の先生の著書。以来犬養万葉に魅せられ、私の万葉歌は現代語訳からメロディ作りに至る迄取り組みはじめた頃からずっと多大な影響を受けています。

 国文学者、万葉学者と言われている先生方がたくさんいらっしゃる中で、そしていろんな学説、見解を読む中で、自分の琴線に触れるのが先生の風土に寄り添った生きた言葉です。国文学に片寄りすぎる解釈では、どうしても固い解釈が多くなってしまいます。そんな中犬養先生は文法的なこともわかりやすい言葉に置き換えて、現代に生きる私たちに歌心を通じていにしえ人の心をよみといて下さるのです。

 現段階では先生にご迷惑がかかるといけないのでお名前はあえて伏せさせて頂きますが、とある著名な先生とのすばらしいご縁を頂きまして犬養先生と直接繋いて頂くという更なるご縁に恵まれました。いまだに夢心地の気分で、本当に私でいいのか、私でよかったのかと日々自問自答していますが、先生も喜んで下さっていますよというお言葉に甘え大切にしていこうと思っています。また過分なお言葉も頂戴し身に余る光栄でございます。

万葉歌をもってご恩返しをするしかないと心新たにしております。

O先生、犬養先生、本当にありがとうございました。重みのある著書をさらに読ませて頂きまして先生が読み解いて下さった万葉びとの心を僭越ながら万葉うたいびとを自称しているものとして恥ずかしくない作品作りに取り組んで参ります。

奇しくも万葉歌をはじめた1年目の初ライブのタイトルは「万葉歌で綴るいにしえ人の心」。

今の日本には、変わらずあり続けるものが大切なのかもしれません。

もっともっと風土を歩いて心を感じ、勉強して頑張りなさい。

そんな先生の言葉が聞こえて来そうです。

言葉に出さずにはいられなかったので、ここにそっと記しておきます。

ありがとうございました。

深謝。

 

                        2012年3月6日

                                  風香 wrote

 

 

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